[本]民主主義とは何か

感想

民主主義とは何か 宇野重規

民主主義とは何か (講談社現代新書 2590)
トランプ大統領をはじめとする「ポピュリスト」の跋扈、旧社会主義諸国および中国など権威主義国家の台頭など、近年の世界の政治状況は、民主主義という制度の根幹を揺るがすかのような観を呈しています。日本の状況を見てみても、現行の政権が「民意」の正確...

読書期間2021/2/9~2021/3/10

世界史を勉強していると専政、貴族政、共和政、民主政と政治制度にはいろいろな種類が出てくる。また、現代社会は半数の国は何らかの形の民主主義であるし、一時期は極端に言えばすべての国が民主主義を目指しているという方向にあったとも言えると思う。

日本は民主主義であると日本国憲法には書いてあるし(国民主権)、しかし民主主義とはどういうことかということに関して何となくはわかっているが、ちょっとふわっとしている気もしている。

また、最近は軍部が政権を奪取したり、ポピュリズムが台頭したり、自由経済を持つ社会主義が安定して存続するなど、必ずしも世界は民主主義に向かっているとも思えないところもある。

いろいろなところで、人類が手に入れた最もよい政治制度は民主主義であるという論もよく聞く。

現代の日本に住む市民として、民主主義はしっかり押さえておきたいと思い、この本を手に取った。

1000円という価格もあって、新書の一種だと思っていたのだが、読み出したら非常に格調高い文章がどんどん繰り出されてきて、立派な民主主義の教科書になっていると思う。これだけの分量と内容で1000円は非常に安いと思う。

本書では、民主主義の歴史を振り返り、民主主義研究者・思想家の考えを紹介しながら民主主義とは結局のところどういうものなのかを丁寧に解説してくれる。

日本の民主主義の成り立ち、戦前・戦後の制度の変遷にも触れている。民主主義について考えるにはよい教科書で決定版であると思う。

自分としては、民主主義が人類が手に入れた最もましな政治制度だと思うし、実現すべき理念として持っていたいものだと思う。そのためには、社会をどうすべきかを市民一人ひとりが自分の考えを持ち、議論を戦わせる必要がある。現代はSNSを代表とする双方向大規模メディアを市民が初めて手に入れた時代であり、うまく使えば本当の民主主義を実現できる可能性を秘めていると思う。

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