サピエンス全史ユヴァル・ノア・ハラリ、柴田裕之訳
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世界史の勉強途中に読みたくなって、再読。
世界史の通史を勉強すると、こういう本を読むときに、読み方が深くなるので、そのお試しとしてもよかったが、次に世界史教科書通読2回めを行う予定だが、その勉強のためにもよかった。
訳者あとがきに、「読者の醍醐味の一つは、自分の先入観や固定観念、常識を覆され、視野が拡がり、新しい目で物事を眺められるようになること、いわゆる「目から鱗が落ちる」体験をすることだろう」とあり、まさにこの体験を得ることができる本である。一定期間ごとに読み返したい。
著者はマクロ歴史学の研究を行いつつ執筆活動に勤しむ。豊富なデータに裏打ちされた多岐にわたるホモ・サピエンス史であり、読むべきポイントが多すぎて、解説しようにもどうしても薄くなってしまう。
以下はメモ的な要約。
ホモ・サピエンスは約15万年前に地球に現れたが、過去10万年間で急激に食物連鎖の中位から頂点に急激に跳躍したため、ホモ・サピエンスを含む地上の生態系は、統制と均衡の仕組みを築き上げることができなかった。人類自身も順応し損なった。「戦争から生態系の大惨事に至るまで、歴史上の多くの災難は、このあまりに性急な飛躍の産物なのだ」
ホモ・サピエンスのために、他のホモ属の種、多くのほとんどの大型哺乳動物が死滅した。また遺伝子的には大成功である牛や鶏、豚などの家畜は、ホモ・サピエンスによって、生物というよりは一種の機械として扱われ、主体的な幸せは全く顧みられていない。普段あまり意識しないが、改めて事実を突きつけられるとショックを受ける。
ホモ・サピエンスがこのような反映を遂げた第一の原因は、約7万年前に起こった認知革命に端を発する虚構を作り信じる能力である。これにより、社会制度・宗教・貨幣を発明し、それを信じる人々が協力行動を行うことができるようになったことである。これにより多数による共同作業ができないあらゆる種を出し抜くことができ、他のホモ属や大型哺乳類が地上から姿を消した。
1万年前に農協革命が起きたことにより、人口を爆発的に増やすことが可能になった。ただ、それまでの狩猟採集生活に比べ、労働時間は増え、栄養は偏り、毎年の気候変動を影響をより受けるようになったため、生活は以前より楽になったとは言えない。
貨幣・帝国・宗教の発明ののち、1500年ころから科学革命が始まる。科学を進歩させるためにはリソースを注ぎ込まなければならないが、これに資本主義や自由主義がマッチし、両輪として進歩した。これは、最終的に生物学的革命を起こす準備を整えることになり、近い将来、ホモ・サピエンスではない別のものを生み出す可能性が非常に高い。
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