[映画]日日是好日

感想

例によってAmazon Primeのおすすめを見ていたら、この映画が。ちょっと時間がなかったが1時間半くらいだったので見れるなと思って視聴。

原作は、森下典子さんの同名の自伝小説。小説の方は、もう二年くらい前、ちょうど映画が公開された頃だろうか、読んでいる。いい本だったので、映画もいつかみたいなと思っていた。

見てよかったと思った。いい映画だった。

現代の我々は変化の速い社会に生きていて、生きることに必死である。少し前までは、どこかで作り出された娯楽を少しでも漏らさないように、皆頑張って受け止めていたが、今や漏らさないように受け入れるなぞ到底不可能なほど娯楽が量産される時代になった。目の前に差し出される娯楽を消費するだけの日々。

この映画にはそれとは全く別世界の時間が流れている。日本に生まれ発展したお茶を通して、毎日少しずつ変わる季節の移ろいや、一度お別れしたら二度と会えないかもしれない人との一期一会を大事に思う生き方を見せてくれる。

毎週土曜日のお茶のお稽古。典子は、稽古に通うようになって、その毎回、違う季節を経験することを感じるようになる。

お茶の稽古はお作法をひたすら繰り返すことで成り立っており、所作の理由を問うべからず。お茶とはそういうもの。

それを繰り返す中で、茶室を囲む四季折々の花鳥風月を感じながら、心のコップに少しずつ溜まっていく水が、ある日表面から溢れるように、いろいろなことに気づく。雨の向こうに海を見たり、お湯とお水の垂らす音が違うことに気づいたり。先生の心のおもてなしを感じたり。書は見るだけで感じることができることに気づいたり。

私も50台を超えてわかってきたのだが、人生は器用にいろいろなことをこなしていくだけではわからないことがある。地道にゆっくり続けていくことで、感じられたり、道をなしたり、信頼を勝ち得たりすることがある。日々提供される娯楽を消費するのではなく、一処に腰を落ち着け、ゆっくりゆっくりコップに水が貯まるのを待つことも、人生には必要なのだ。

2018年の日本映画。先生役の樹木希林さんは、公開前に惜しくも亡くなっている。本当にはまり役で、その人柄にほっこりするし、所作で茶室の中に張り詰めた空気感を作る。主役の黒木華さんも少し不器用だが真面目な主人公を生き生きと表現する。いとこの美智子(多部未華子)の方が華があり上手に社会に適応して生きているという対比も映像表現にも助けられてうまく表現されている。視聴者は主人公を一緒に生きて、何度もほろほろとさせられる。

原作もいい本である。手にとってまえがきを読み返してみたが、このまえがきがすでにすばらしい。映画で受け取ったことが凝縮されている。

お茶のお稽古はなかなか厳しそうだ。興味はあり、一度やってみたいと思い二年ほど前にこの本を手にとったのだが、全く知らなかったお茶の世界をこの本はよく感じさせてくれた。機会があればやってみたいなと今でも思っていて、機会を探している。そのうちに。

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