NIFTYとソフト開発(1997/11/15)

 私は、この1年半、WithNIFTYというNIFTY SERVE巡回用のオートパイロットソフトを開発してきました。
 また、5年ほど前、DOS上のシェアウェアを気に入って、NIFTY上にできたサポート会議室に常駐していたこともあります。


 両者を通じて思ったことは、NIFTY SERVEがソフト開発を行うときに、非常に大きな力を発揮するということです。
 NIFTY SERVEがというわけではないのかもしれません。会議室形式のコミュニケーション方法がいいわけです。


 インターネット上にも掲示板システムや、MLがありますが、掲示板システムはたいてい重過ぎるし、簡単な内容のやりとりしかやる気になりません。
 その点はまだMLの方が使いやすいと思いますが、立ちあげるのが面倒だったり、クローズドスペースであったりして、NIFTYの会議室に匹敵する効力をあげるとは思えません。

 NIFTYの会議室サービスは、次の特徴があります。

 NIFTY SERVEの会員になる必要があるのですが、サポート会議室は誰でも読むことができます。またほぼ、読んでいることを誰にも知られる心配はする必要がありません。完全に雑誌感覚で読めます。この辺はMLとは感覚が違います。MLの場合は参加をするために、特定個人に申し込みをしなければならない場合が多いですし、システムがMLごとに違うため、勝手にMLにメールが流れてしまうのではないかという危惧が常に付きまといます。

 またインターネット上のサービスには、MLにしてもネットニュースにしても感じられるのですが、普通の人が記事を流すということがやりにくい雰囲気があると個人的には思います。失敗を許してもらえない雰囲気があります。
 私は、これでもネット暦はパソコン通信・インターネットも含めて10年以上ありますが、インターネット上のサービスには、「一見さん、お断り」の雰囲気があるものが多いと思っています。私自身が記事を流すことをためらいます。 その点、NIFTYの会議室サービスは、かなり雰囲気が軟らかだというか、多少失敗しても許されるというか、そういう雰囲気の会議室が多いように感じます。

 最後はリアルタイムであるかということです。NIFTYでは記事を流したら即、その記事を誰でも見ることができます。MLでは長いところでは2時間から3時間以上かかります。

 さて、こんなNIFTYの会議室システムが、ソフト開発をするときにどう役立つかということなんですが、一番の効用は「ユーザーと直接ダイレクトにコミュニケーションがはかれる」ということです。
 リリースしたソフトに関して、いろんな人からいろんな意見を聞くことができますし、活発なときには、リアルタイムチャットのような書きあいができます。

 しかし、時代は確実にNIFTY衰退の道へ続いている気がします。
 今回、K2工房2本目のシェアウェアとするべく、ToDoリスト管理用のソフト「TaskPrize」をリリースしようとしています。このソフトはNIFTYとは全く関係ないソフトですから、リリース情報をインターネットとNIFTYと両者に流しました。
 反響は、インターネット上の方が断然大きいです。メールを何通もいただきました。この手のソフトにみなさんが飢えているということもよくわかりました。

 ところが、NIFTYはダウンロード数も、会議室の書き込みも期待できそうにありません。

 ここで問題になるのが、NIFTYの会議室に代わるシステムに対して、作者が飢えるということです。一番欲求を満たしてくれそうなのは、サポートMLを立ちあげるということです。本当は、MLよりNIFTYの会議室システムの方が適しているように思うのですが、インターネット上に類似のサービスがないのだから仕方がありません。

 今後は、作者自ら、意見を聞くためのシステムを提供していかなければならない時代になっていく(もうなっている?)のですねぇ。結構負担が大きいですね。

 今までのいろんなソフトがリリースされ、完成度が上がっていきという活動の裏には、NIFTY SERVEをはじめ、パソコン通信の働きが大きかったと思っています。そのことに感謝をしつつ、新しい道を模索する必要を感じています。